紅色の空から
今日も誰かの涙が落ちる
冬も過ぎ去り、暖かくなってきたころ。
けれども今日は、少し肌寒い。
雨が降っているからかもしれない。
二人が働いてる花屋は、今日は定休日でお休み。
アヤとケンはベットの上で背中合わせに座っている。
アヤは読書。
ケンはMDウォークマンで音楽を聞きながらボタン付け。
無駄なものがない部屋には、アヤの本をめくる音と外の雨の音しかしない。
ざああ ざああ
「・・・・。」
雨の冷たい音が、アヤを孤独にさせる。
背中からは確かに温かい温度が伝わってくるのに、なぜか一人崖から突き落とされた感覚に陥る。
本に落としていた視線をケンに向ける。
ケンは、規則的にボタンを縫っている。
ざああ ざああ
そのケンの耳に手を伸ばす。
片方のイヤホンを奪うと、何事もなかったかのように座りなおしイヤホンを耳にはめる。
ケンは驚いたように目を見開いてあやの方を見る。
が、アヤは読書を再開してしまう。
「おまえ、手冷たいんだよ。」
素直じゃないアヤの姿に、ケンは笑いながら独り言のように呟く。
その言葉に、アヤはちらりと視線をよこしただけ。
ケンはさっきよりも笑みを深めて、アヤと同じように作業を再開した。
二人の耳に流れてくるのは、やさしいピアノの音。
静かな部屋に響くのは、本をめくる音と雨が降っている音だけ。
雨の降りが少し強くなった。
紅色の空から降る雨は誰かの涙
たくさんの涙が地上に落ちる
これだけたくさんの涙が一緒なら
みんなさびしくなくなるね