勘違いさせたままでいい
「マチは、団長のことが好きなの?」
知らない間に、隣を歩いてた男にいきなり聞かれた。
勝手に現れておきながら、何も話さずにいたと思ったらいきなりこれだ。
そんなことにも慣れた私は、驚きもせずただ答える。
「いきなりなんだ?」
「別に。それでマチは、団長のことが好きなの?」
いつものような変な格好じゃなく、メイクも落とした姿なのに
いつもと同じような口調で喋る。
相変わらず、何を考えているのかわからない。
「なんでそんなこと、お前に言わなきゃいけないんだ?」
「もちろん、僕が君の事を好きだからさ。」
飄々と言ってのける。
この言葉も、いつも言っている。
けど、これが奴の本音かどうかはわからない。
「アンタいつもそう言うけど、本当はどう思ってるの?」
立ち止まった私に合わせて、ヒソカも立ち止まる。
ただの暇つぶしや、遊びでついてきたりしてるならそんなのごめんだ。
手のひらの上で踊らされてるなんて、そんなことをしてるというなら絶対許さない。
いい加減、こっちも疲れる。
いつも勝手に現れて、脈拍を上げていく。
それを隠すのに、どれだけ私が苦労してることか。
そんな今までのことを、弄んでいたと言うなら、私は絶対許さない。
「もちろん、本当さ。信じてないの?」
「アンタのことを信じろってほうが無理さ。」
「それもそうだね。でも、どうしたらこのことを信じてもらえるのか・・・。」
ヒソカは困ったように、いつもの食えない笑みを困惑の表情に変えて考え込む。
が、すぐもとの表情に戻して言った。
「そういえば、質問の答えがまだだったね。いきなりの質問の理由は、ただの嫉妬と好奇心さ。」
「嫉妬?」
「君と団長は、昔からの知り合いみたいだからね。追いつこうと、僕も必死なんだ。」
顔が熱い。
きっと、今私はとても顔が赤くなってるんだろう。
奴の笑みが深くなった。
悔しい。
自分の思いだけ、アイツに知られたことが。
悔しい。
悔しい。
悔しい。
「で、マチは団長のことが好きなの?」
「――自分で考えろ!!!!」
悔しいから、最後にこう言って歩き出した。
勘違いしたままでいい
そうして、やっと同じ位置にいられるのだから