15.それもひとつの愛のかたち










どこまでも黒い瞳が見つめてくる。
それは、俺の中の何かを探し出すように。それは、俺の嘘を咎めるように。 いつもこの人はそうだ。言葉なんかを使わずに容易く俺の心を掴み取っていくのだ。真実とともに。すべてを奪い。 「愛してる」とこの人は言う。黒い瞳もそう言っている。それは確かなもので、疑ってなどいない。でも、でも、だからこそ―。





この人の愛は、とても重い。
日常の細かな一つ一つ、友達や同僚と話すときや晴れた空に向けられるそういう類の小さな愛情が欠落しているこの人は、大切なものを見つけるとそれだけに執着してしまう。そこにすべての愛が注ぎ込まれてしまう。その愛が嬉しいとも思う、そして、悲しいとも思う。この人を愛しいとも思う、同時に、この人が憎いとも思う。掴まれた腕が痛い。その暖かさに、この気持ちすべてをぶちまけてしまいそうで。そこから引き千切られてしまいそうで。





「・・・・・離して、ください。」
「何故だ?」
「いいから、離してください。」
「それはできん。」






女のように繊細な指が、髪を結っている紐を解く。ゆっくりと優しく、何かを言い聞かせるように。ああ、まただ。ぎしぎしと痛む心。喉の奥に引っかかる、言えない言葉。言わなきゃいけない言葉。それはきっとこの人を傷つけるだろう。だから、なのだろうか。 あの直向な愛を向けられた時から、ずっとずっと言えずにいる言葉がある。 この胸の痛み、身体を千切られそうな痛みをただ隠して、俺は嘘を吐き続けている。優しく触れられるたび、その瞳に見つめられるたび泣き出しそうになる心を隠して。









抱き寄せられるたび、悲鳴を上げる心を閉じ込めて。














2005/01/22 ブリーチ(白恋)
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