2人を隔てているのは皮膚一枚だけだ。
この皮膚さえなくなれば、世界とも君とも繋がりあえるのに。























泣き出しそうに叫んだ夜があった。
狂ったように凶暴になった夜もあった。
2人の間には皮膚一枚しかないというのに、俺達は一つになれない。骨も血も髪も瞳も声も肉も、同じだというのにけして一つにはなれやしない。
その事実は足元から確実に俺の中を蝕んでいく。俺はサガにはなれないし、サガも俺にはなれない。
なんて残酷な世界。
一つになれないなら、俺がここにいる意味などないじゃないか。
空気よりも軽く、吐息よりも重く。なにをするにでも同じになってしまう仕草で、ただそこに居るだけ。
生まれてはいけない人間などいない、と言うけれどもそれはすべての人が違う人間だからだ。なら、同じ人間として生まれた俺はどうなる。同じような人間として生まれた俺に、存在価値などあるのか。
「お前は、俺にないものを持っている。」
そう、サガは言った。いつの頃だったか覚えてはいない。本当に小さい頃だったかもしれないし、昨日のことだったかもしれない。はっきりと記憶に残っているのは、そう言って薄く笑ったサガの口元だけだった。
なにもわからないサガは、羨ましいと言った。
なんて残酷な兄。
持っていないというならあげよう。喜んで譲ろう。
そうすれば俺は、この長く苦しいだけの生に存在を見出すことが出来るのだから。
けれどこの世界は、二つのものを一つにはしてくれないのだ。
隔てているのはただの細胞だというのに。薄い膜一枚だというのに。一つにはなれない。
なんて残酷で綺麗な世界。
なんて残酷で綺麗な兄。
一つになれないことをこんなにも嘆く俺は、所詮存在を認めてもらいたいだけなのだと。
気付いている。俺というものだけを俺として見てもらいたいのだと。気付いている。
泣き出しそうに叫ぶ夜がある。狂ったように凶暴になる夜もある。
どう足掻いても現実にはならない夢に。
一つになってしまいたい。叶うというなら。一つとなってサガの一部になってしまいたい。
そうしてやっと、俺は世界の一部となるのだ。





























あえて、サガカノと言ってみる。
2005/06/05 聖闘士星矢(カノンとサガ)




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