寂しいということ
悲しいということ
そのすべてから、あなたは救ってくれた
心地よい風に、綺麗に晴れてる青空
そして、綺麗な緑の芝生ときたら寝転ばずにはいられないだろう。
風と草の揺れる音しかしない世界。
そんな時、決まって思い出すのは少し前の私。
今まで、男手一つで育ててくれたお父さん。
そのお父さんが、綺麗で大きな会社の社長と再婚した。
その人には、子供が二人いて同い年の姉と、一つ下の妹ができた。
嬉しかった。
今まで、たった二人で頑張ってきたから。
お父さんも幸せになれる。
私も女子高校生らしくなれる。
幸せになれるはずだった。
なのに、新しいお母さんにはなぜか避けられる。
姉にははじめから嫌われる始末。
妹は話しかけても素っ気無い態度。
私は、独りだった。
寂しい 悲しい 苦しい
独りにしないで
誰か私を見て
そこに、あなたが手を差し伸べてくれた。
必要だと言ってくれた。
「わたし」を見てくれた。
ざああ、と風が今までより強く吹く。
その足音に、耳を澄ます。
ちょうど、私の頭の真上で音が止む。
もう独りじゃない
ゆっくりと、目を開く。
そこには、空のように青い青い髪と優しい瞳。
そしてあなたは、手を差し伸べながらやさしい声でこう言うの。
「いくぞ、―――姫乃。」
私は、手を差し出しながらとびきりの笑顔で答える。
「―――うん。」
独りだということの、寂しさ 悲しさ 苦しさ
そのすべてから、あなたは救ってくれた
いとも簡単に、ここから連れ出してくれた
あなたが私の名前を呼ぶたびに、私の心はとてもとても暖かくなる
あなたが私の名前を呼ぶだけで、私はとてもとてもうれしくなる
あなたが私の名前を呼ぶたびに、私は独りじゃないと知れるから
あなたが私の名前を呼ぶだけで、私はあなたと一緒に歩くことができる