例えば、例えば・・・・・・
「仁王君。」
「おう、柳生。おまえもか?」
「まあ。・・・隣、いいですか?」
「どうぞ、どうぞ。」
例えば、こうやって隠れて屋上で煙草を吸うということ。
見た目はもちろんその性格や喋り方、成績から優等生として皆に知られている柳生だが
本当は、そこらの突っ張っている奴らより煙草を吸い慣れているという事実を果たして何人が知っているだろう。
彼によれば、知っているのは俺一人らしい。
性格からして事実と見て間違いないだろう。
ただし、感づいている奴が何人いるかは教えてもらえなかったけれど。
「あんさー。」
「はい?」
「いつも思うけど、眼鏡、やめれば?」
「またそれですか。」
「絶対そっちの方がええって。」
「仕方ないでしょう。コンタクトをつけると涙が出てくるんですから。」
「もったいないなー。」
例えば、眼鏡をとったその顔はかっこいいと言われる部類のものだということを。
長い睫毛やくっきりした目なんかは、見れば見るほど自分と似ているなと感心してしまう。
はじめて眼鏡をとった柳生の素顔を見たときは、本当に驚いた。
眼鏡をかけている者の法則そのままで。
柳生を見るたび、毎回毎回思う。
本当にもったいない。
「そーいやどうやった?テスト。」
「・・・・・・・・・。」
「まーた補習か。」
「しかたないでしょう。おもしろいほんがたくさん出てたんですから。」
「やっぱ、お前おもしろいわ。」
例えば、頭はいいくせに補習を毎回うけているということ。
テスト週間になると部活が休みになる。
すると柳生はその休みを利用して、今までためていた本を1週間ぶっ通しで読み続ける。
もちろんテスト勉強など一切しないし、徹夜で読み続けているため授業中は寝続けているらしい。
そうすると、当たり前だがテストの結果はさんざんになる。
こんなのを中学の時から続けているのだ、この柳生というやつは。
周りの人間がいくら言っても学習しない。
こいつは赤也より馬鹿だ、と思う。
「人のことを笑える立場じゃないでしょう。」
「ああ?」
「あなたも、また補習らしいじゃないですか。」
「俺はええの。」
「なんですか、それは。」
例えば、柳生との補習が楽しみだということ。
いつからはじまったのか、課題をさっさと終わらして遊びに出かけるようになった。
行くあてもなく、ぶらぶらと。
海に行ったりただ買い物したり、ときどき互いの家に行ったり。
共通点なんて、ほとんどないのに。
なにが。
「そろそろ行きますか。もう、五時間目の授業も終わるころですし。」
「んー、そやね。しゃーないけど行くか。」
例えば、例えば・・・・・・