「飛鳥。」
「はい?」
「好きだ。」
「・・・・は?」
「飛鳥のことが好きだよ。」
何かが、変わる気がした。
書類の整理を手伝っているときに、突然総代にそう言われて1週間が過ぎた。
けれど何かが変わってしまったわけでもなく、総代の態度はぎくしゃくすることなく前と同じだ。
さすが、と思うのと同時に
じゃあこの間のは?、と理不尽な怒りを感じずにはいられない。
とにかくこの1週間、ろくに会話をすることなく何もせず何も起こらずに終わった。
焦る、焦る。
気持ちだけがぐらぐらと。
何に、なのか
何か、さえわからず。
ただ気持ちだけが勝手に苛つく。
何をこんなに焦ってる?
気づくと、目の前には見知った背中があった。
どうやら意識が飛んでたようだ。
知らない間にだいぶ話が進んでる。
わからない話の輪に入る気も起きず、目の前の背中を見つめた。
焦る。焦る。
体の真ん中から突き抜けるような。
苛つく。
「―――っ!!」
目の前の背中を殴り飛ばしたくなった。
拳を握ることでその行動を抑える。
けど、衝動は抑えることが出来ず拳が震える。
駄目だ。このままじゃ本当に殴ってしまう。
もう一人の自分が、頭の中で叫ぶ。
早くここから逃げろ!!
鳴り響く警告音。
声と音の煩さに耐え切れず、俺はその場から逃げ出した。
走る。走る。
人にぶつかっても、怒鳴られても止まることなく。
走る。走る。
どこに行くのか、どこまで行くのかわからないのに。
走る。走る。
行くあてなんてないのに。
「飛鳥!!」
「っ・・・。」
振り向かなければいいのに、つい反射的にその声に振り向いてしまった。
そこには思った通り、総代 九条綾人が居た。
再び鳴り響く警告音。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
無言の二人の間に、荒い息遣いだけが響く。
強い視線に縫いとめられ動くことが出来ない。
その唇が動く。
「俺に、何か言うことはないか?」
やめろ。
見ないでくれ。本質を。
風の音が消えた。
「俺を、避ける理由は?」
緩く掴まれた手首。
駄目だ。
出てきてしまう。見たくないものが。
景色の色が消えた。
「俺を、突き放さないのか?」
やめて。
見ないで。掴まないで。真実を。
見れない。受け止められない。
やめて。やめて。
警告音は鳴り響いてるのに。
「・・・・・・・。」
少し冷たい体温に触れた。
形にならない声は確かに届いた。
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二人ともぐるぐるー。
相変わらず当初の予定が狂った。
計画性ゼロ。