どこまで来たのか、どうなったのか。
なにが起きたのか、それともなにも起きなかったのか。
わからなくなってしまったこの脳は確実に壊れ始めている。










冷たい指が手首に触れる。
その温度に奥底に沈んでいた意識が引き上げられ、視界いっぱいに映る黒。
認識して大丈夫、大丈夫。まだ壊れてはいない。溢れる安堵。
あの日から何かが確かに狂ってしまった、2人。
その何かは俺にもこの男にもわからない。自我か意識か心か、それとも世界自体だったのかもしれない。
触れ合った手と手には、なにが残ったのだろう。
「来い。」
短く言われ同時に触れるだけだった手首を掴まれる。
俺の意思とは関係なく、容赦のない力でずるずると引っ張られ知らない廊下を歩く。
音がするんだ。確実に壊れていく音が。
足元が崩れ落ちていくような不安定さの中、ゆっくりと崩壊していく世界になにをこんなにも縋りついているのだろう。
なにを待って、なにを望んでいるのだろう。
一つの部屋の前で立ち止まる。刀を持つ手が扉を開け、ベッドの上投げられる。
そこで、なにをされるのか、逃げなければという考えが思いつかないことに気づく。
焦る心はなぜか、ここにある。はやくはやく。
「今日からここがお前の家だ。」
紅い瞳に奔る狂気。狂ったのは自分か男か世界か。
刀を置いた指が髪を掴む。息が触れ合う距離、見上げた先の男の笑みに軋んだ。
はやくはやく、急かされる心。次から次へと耐えられないほどに押し寄せる波が、溢れ出てくる。
もがくようにその背中を掻き抱く。
耳元で壊れていく音がする。近づいてくる足音に、日増しに強くなる胸を締め付ける力。









この脳が壊れてしまう前に。






















アキラがEDのあれになる前ぐらい。
2005/03/27 咎狗の血(シキアキ)愛玩具ED




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