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きっとその森は迷いの森 約束は輝く星に、思い出は紺色の夜空に だからきっとここは迷いの森 全部が嘘で、全部が本当 白いシーツが風に揺れている。 肌をやさしく撫でていくその風は、彼女の長い髪をやわらかく流した。 「大丈夫よ、きっと。」 いつものように微笑む彼女。 それは母親のやさしくそしてどこか強さを秘めた綺麗な微笑み。 瞳にはただ愛しさだけを籠めて、纏う空気さえ母親になった彼女は強く言う。 「大丈夫よ、クラトス。」 彼女に捕らえられた手が、震える。 その小さな存在に触れることを、今までにないくらい恐れている。 喉元にナイフを突きつけられたかのようなひやりとした感覚。怯えている。 ゆっくりと近づくその時に、彼女の言葉だけが響いた。 「クラトス?」 記憶よりも低くなった声に閉じていた目蓋を開く。 見上げてくる少年に重なる映像。 彼女のやさしさと強さを受け継いだ少年。 「大丈夫か?」 少し躊躇いがちな声が、ガラスを通して聞こえる。 違う。そうだ、これは夢だ。 起きたまま見る夢。記憶、思い出。 「クラトス?」 少し高い体温の掌が腕に触れてくる。 赤い布に覆われた、小さくもない大きくもない、少年の手。 触れられた場所が熱い。 震えたまま伸ばした指先を小さな手が掴む。 離さないとするかのようにやわらかな皮膚から確かな力が流れてくる。 小さなこの子が生きている証。 やさしい風は溢れる愛しさを連れて行くけれども、きっと大丈夫。 「だってクラトス、私は幸せだもの。」 彼女がそっと笑った。 2005/06/12 TOS(クラトスとアンナそしてロイド) |
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