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群青 月日は否応無に過ぎていく。夜から朝に変わるように、絶対の力を持って。 俺とアヤの間には見えない青い、凍りついた約束がある。この小指と小指に結ばれた青い糸。今もまだ繋がっているのだろうか? 「どこか遠くへ行ってしまいたい。」 呟いた声は情事の残り香と共に弾けて消えた。 「できたら暗いところがいい。」 アヤの胸の上、倒れ込んだままケンは独り言のように掠れた声で吐き出す。まだうっすらと濡れたままの瞳は言葉と同様に遠くを見つめていた。ここではないどこか、遠く遠く。暗い場所へ? 「なぜ?」 キスの合間に問いかける。そのときケンの目蓋に過ぎったのは、青。離れた唇を追って噛み付くような勢いでもう一度。 「・・・・・・青が、光るから・・かな。」 唇だけでなく頬や首筋、指先などへと落とされていく。そこから映るのは確かに暗闇に光る青、望んだ世界にとても似ている青。赤じゃなく?耳元を擽るアヤの言葉に、はたと気づく。そう、けして赤ではないのだ。2人の間にあるのはいつも青。黒い闇の中で鈍く光る、それはあてつけか。 2人の間には見えない約束がある。それはどちらも口にしたことはないけれど、キスをしているそのときでも端に感じる。それをケンは確かめない。本当は確かめたいと思っているし、何度も確かめようとした。けれども問いかけようとすれば言葉が喉に張り付き、掴もうとすれば身体が動かなくなって結局その繰り返しで時が過ぎている。自分でもわかっている。アヤも確かめようとしない。そこに生まれる期待と不安。愛し始めている、確実に。 「もし、・・・」 月日が経つ間に、青と赤を被せていた。それと同じように心も摩り替わって怯えている。青の世界に行きたいんじゃない。青の世界に居たかった。だから戻りたい、約束を破る前に青へ。傷つくとしても今この時をなくしたくない。このままの2人でいたい。 「もしも、そこへ行けたら」 だから一緒に戻りましょう。1人きりで戻ってもあなたの姿は眩しくて、きっとまた繰り返してしまう。それほどにあなたの指先は優しく、すべてが変わってしまったから。 「アヤも連れてってやるよ。」 あの青が光る世界へ。 「青、か・・・・。」 勘違いしてしまいそうに優しくなってしまったアヤの指先が唇を撫ぜる。ああ、駄目だ。やっぱり駄目だ。泣き出してしまいそうな心が、ある。 ふ、と一つアヤが優しく笑う。 「どうせなら赤がいい。」 震えたケンの睫毛。噛み付くようなものではない、合わせるだけのキス。 さあ、行こう。 青の世界へ、赤の世界へ。戻るのではない。 俺とアヤの小指には青であって赤でもある、糸で結ばれ繋がっている。 それは絶対の力の中で光っている。 2005/02/14 ヴァイス(アヤケン)バレンタインSS |
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